2006年10月12日

追憶のシアター(後)

 3日に渡って書いてきて、一体自分は何を書きたかったのか、いまいちよく解らなくなってしまった。
 だから冒頭に戻り、そもそもの始まりーー
 BIGINの「追憶のシアター」はこんな一節で始まる。

   会う人のいない夜は 涙の証拠を隠し
   古い切符をたよりに 一人劇場へ行こう 

 別に無理に一人で行く必要はない。誘える人がいたら、必ずその人と行ったほうがいいだろうし、もしかしたら一生忘れることの出来ないような映画や芝居を、共に目撃することが出来るかもしれない。
 二人で払った3600円が、ラブホテルで過ごす2時間よりも濃密で、豊かな時間である為にラブストーリーはあるし、そんな思いで映画は映画であろうとしている。
 たとえ一人で出掛けたとしても、そこでは必ず何かが上映(上演)されていて、そこには必ず誰かがいる。
 劇場の入口でアンケートを配っている青年が、実は未来の映画監督で、何気なく話しかけたことがきっかけで、引き返すことの出来ないただならない人生を歩む。
 劇場はときどき、そんな出会いをも招いてくれる。
 少なくとも、僕はそうやって映画と出会ってきたし、多くの人とも出会ってきた。
 文字通り、シアターで、あなたと知り合った(ー)のだ。
 そんなことを回想しながら、つい最近、思い出したように「追憶のシアター」を聴いた。

 ってなことをとりとめもなく書いてきて、これがかなり東京限定の話になっていることはかなり淋しい。それ以上に、東京であってすら、そういった個性的な劇場が消えていく現状はかなり辛い。
 辛いけれど、求める人がいる限り、やっぱり劇場は消えはしないだろうとも思う。

 古い切符をたよりに、僕はまた劇場へ行く。
 新しい切符は、たぶんそこにあると思えるうちは……

 最後にーー
      「いつだったか、あなたと一緒に、
       ユーロスペースで映画を観ましたよね?
       あなたはきっと、 
       憶えてはいないのかもしれないけれど……」   
                           (終)

  

 
 
 
posted by kouta at 23:27| Comment(3) | TrackBack(0) | 随筆 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
全部読んでからコメントしようと思っていたので、
コメント遅くなりました!
草野さんは、素敵な映画の見方をするんですね。
私は…なんだろ?
ただ見て帰ってくるって感じ…
モチロン自分なりに感想は持っているのですが。
私以外のお客の事はみないし…
ただ…後ろの人に椅子を蹴られて台無しにされる事はあります…
蹴られると、せっかく映画の世界につかっていたのに、いきなり現実世界に戻されちゃうんですよね…
Posted by たれめ at 2006年10月13日 17:28
数年前、とある映画館に出向いたら、入り口に中学時代の後輩が立っていて、「なにしてんの?」と挨拶したら、「この映画、僕が買い付けてきたんです」と。その後輩とは、中学時代に一緒に大森くんだりまでATG映画を一緒に観に行ったりしてたから、なんだか嬉しかったな。…と、そんなことを思い出しました。
Posted by まえかわ at 2006年10月14日 01:38


大森! 行きました。観ましたATG!
ぴあの地図が小さすぎて道に迷った記憶が。
寺山修司特集! それがデビュー作の三上博史さんがなんか凄かった。…と、そんなことも思い出しました。
Posted by kouta at 2006年10月14日 19:25
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